★ YAMAHA W100WnC ★
今回は、この YAMAHA W100WnC というピアノに焦点を当ててみることにしました。
国産のピアノメーカーといえば、YAMAHAを筆頭に、KAWAI、DIAPASON…などが挙げられます。
その中でも、今回ご覧いただいているようなピアノはどちらかというとKAWAIの方がデザイン的には人気があるような印象があります。
木目調のチッペンデール・ねこ足(=^・^=) が特徴的で、YAMAHAに比べるとKAWAIの方がより華奢な感じがするので、そこが人気なのかもしれません。
●チッペンデールって
W100WnCの、Wnはウォルナット調の仕上げ、最後についている"C"はチッペンデールという事を表しています。
ところで「チッペンデール」って、人の名前だってご存知でしょうか?
18世紀に活躍されたイギリスの家具職人さんだそうです。
この方が、当時ヨーロッパで流行した中国様式とフランス・ロココの影響を受けて作っていた家具の様式なんだとか。
脚は猫足が多く、鷹の爪が球をつかんだ形のものが多いとのこと。
ピアノを見ると確かに前の2本の脚がそのような感じになっていますね♪
●外見のデザイン性
色はウォルナット調で艶消し(半艶)仕上げとなっています。
このような色調はメーカー各社で発色に差があり、塗装技術の差が顕著に出る部分でもあります。
やはり、こういったピアノだと木の模様をいかに綺麗に見せられるか、腕の見せ所だと思います。
そして、このピアノの最大の注目ポイントは、譜面台の象嵌です。
象嵌とは、模様を削ったところに別の素材を埋め込む技法の事を言います。これについては、ヤマハは高級家具を作っていた歴史があるので、その木工技術の高さが光りますね。
楽譜を置いていない時でも、さりげなく入っている模様がピアノに品の良さを与えてくれます。
●家具調のコンパクトでも際立つYAMAHAの精巧さ
さて、ここからはこのピアノのYAMAHAならではの特徴を細かく見ていきましょう。
このような家具調でコンパクトなものをコンソールピアノなんて呼んだりします。
その名の通りで、通常のアップライトピアノと比べると、上下のサイズが特に非常にコンパクトなアクションになっています。
基本的に構造自体は同じで、動作も変わりません。至って普通に弾くことができます。
ただ、このような小さなピアノでどうにもならないのが 「響板のサイズ」 です。
響板はピアノの命と言っても過言ではないのですが、響板が割れた=ダメなピアノ ではありません。まぁ、響板割れの事については、いずれ別の回でお話ししたいと思います。
響板の役割は、一言で言うと拡声器兼スピーカーみたいなもの、と思ってください。
弦だけの音は実はかなり小さいので、響板があるからこそピアノは大きく響くことができるという事です。
スピーカーは、やはりより大きいものの方がいい音が鳴るものです。映画館等は、かなりの大型スピーカーがあるので、大迫力の音を再現できます。
ピアノも同様なのですが、このピアノはかなりサイズが小さいわけで、楽器としては圧倒的不利な条件となります。
また、小さい箱の中に入る長さの弦しか使えない、というもの同じく不利なわけです。
小さいピアノというのは、不利な条件まみれという事になります。
ところが、小さいなりにヤマハは工夫を凝らして苦労して設計したのだと思いますが、普通のサイズ(U1とか)とあまり遜色ないように聞こえるのです。
弾いてみたら、驚く方が多いと思います。
響きのバランスが整っていて、ピアノとしてはかなり高い完成度です。
他のメーカーでは、多少音の部分については"小さいピアノなので…"と言われているような感じがして、それば当然の事でもあると思っていますが、ヤマハはそれをいい意味で超えてきます。
音を出す、という意味で重要な箇所であるハンマーにも、アンダーフェルトを採用しているあたりが、小さいことに妥協してはいないメーカーの姿勢がしっかり表れていると思います。
●動画で音を確認してみましょう
最後になりましたが、動画で音を確認してみてください。
ジャパンピアノサービスでの在庫は今のところ1台のみとなりますが、他社様で同じモデルをご検討の際にも、何かの参考になれば幸いです。